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【ポストカード販売】フレデリクス・ルイシの標本瓶ポストカード

¥220 税込

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オランダの収集家であり、解剖学、植物学者であったフレデリクス・ルイシ(Frederik Ruysch、1638-1731)による、Thesaurus animalium 「動物の宝典」(1744年再版盤、初版は1710年)に掲載された鳥とアルマジロの胎児、リボンカゲロウと草花があしらわれた標本瓶の図版です。

それぞれの標本瓶に入れられている、装飾されている生物は本著のテキストページに記載があり、以下はその記述の抜粋と、和訳、情報です。

標本瓶 -左-
A. Armodillae foetus アルマジロの胎児
B. Ramulus Ficoidis Afric アフリカ南部原産Curio ficoides
C. Fasciculus florum 花束

標本瓶 -右-
A. Avicula  小柄な鳥 (種を特定する情報無し)
B. Carduus dictus ヒレアザミ属の1種
C. Fasciculus flosculorum 花束
D. Papilio Turcicus リボンカゲロウの1種 Nemoptera coa

ルイシの標本コレクションはこの図のように標本瓶の中に様々な標本を入れ、装飾されたり、樹脂などで骨格標本などを固定したジオラマ作品で構成され、当時の人々は彼の”脅威なる蒐集室”は入館料を支払って観るほどの人気がありました。その人気は国を超え、ロシア皇帝ピョートル1世が訪問、後にルイシのコレクションをすべて買取、ロシアへ移送した程です。
そのコレクションや、当時の蒐集家、アルベルトゥス・セバのコレクションも買取、それらのコレクションを展示する博物館 ”クンストカメラ" をサンプトペテルブルグに建設し、現在もその博物館はルイシの現存するコレクションを展示しています。
(その後、ルイシはまたすぐに新たなコレクションを作っています。まさに蒐集家の鬼。)

この図には含まれていませんが、彼のキャリアの一つに助産師の実習教師であった経緯で得られた、ヒトの臓器、部位、胎児、奇形腫を標本として保存、コレクションとしたものも多くあります。(私ことdubheはちょっとそれが苦手。)
教育のための標本、解剖検体の保存は当時は困難で、いかに腐敗を抑制し、生き生きとした姿を残すか、それによって得られる知識が当時の医療の向上に大きく影響を与えていました。
ルイシはこの困難に対し、標本の血管に赤い顔料である辰砂硫化水銀(II)(HgS)を注射したり、ガラス製の義眼を装着する等で、まるで生きているかのような標本を作製しました。
彼の標本作成で、最も重要なのは、アルコールを主剤とした標本液を作成、普及させた事が挙げられます。この標本液は数十年をかけて独自の調合を行い、「liquor balsamicum」と名付け、今回紹介している標本瓶の中ではアルマジロの胎児の液浸標本に使用されています。
その芳香な液体の組成について、2006年に出版された本での研究により、豚の血、ベルリンブルー、酸化水銀が含まれていることが明らかになりました。水銀は強い防腐効果があり、色材として、変色した標本の修正にも寄与していたのかなと思います。そして、ベルリンブルーは紺青色の合成色素、プルシアンブルーを示します。これも白く変色した標本をより白く美しく見せようとしていたのかもしれません。プルシアンブルーの発明時期とルイシのコレクション製作の時期は重なっており、当時最新の色材を知り、使用したルイシの人脈の広さを伺いしれます。そして、豚の血はどんな目的でしょう。上記二つをアルコールで希釈する前に練り合わせに使ったり、なにか他の目的があったのかもしれません。

今回、この標本瓶について調べていき、様々な文献を読んでみると、
ルイシのコレクションはちょっと行き過ぎていて、それが現在において、偏重されている感がぬぐえないけど、医学の発展や、尽きぬ興味に素直な人だったんだなと、思い直すことが出来ました。
でも、ヒト胎児や血管標本、結石やサンゴを飾り立てた、皇帝好みなジオラマ作品はやり過ぎだと思います!

【参考文献1】
Frederici Ruischii anatom. & botanices professoris ... Thesaurus animalium primus : cum figuris aeneis = Het eerste cabinet der dieren
https://www.biodiversitylibrary.org/bibliography/43735

【参考文献2】
American Journal of Medical Genetics Part A:2017 Jan; 173(1): 16–41.
Frederik Ruysch (1638–1731): Historical perspective and contemporary analysis of his teratological legacy
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5215407/#ajmga37663-bib-0004

【参考文献3】
Jornal of Anatomy Volume224, Issue3
Special Issue:Anatomical Education March 2014 Pages 316-344
Human body preservation – old and new techniques
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/joa.12160


すべてのポストカードの図は、当時製作された博物図版の実物を入手し、スキャンして製作しています。
使用紙はアラベール200kg、オフセット印刷またはデジタルプリントです。
ポストカードの大きさは日本の一般的なハガキサイズである100mm×148mmです。
各図版の出典元はポストカードの宛名面に記載しています。
*参考の宛名面デザインを確認ください。

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